新10 1-
155:柴犬 3/6 11:21
何の気もなく教場へ入ると、黒板いっぱい位な大きな字で、【アンパンマン先生】と書いてある。
俺の顔を見てみんなわぁと笑った。俺は馬鹿々々しいから、「お腹を空かしてるガキを探していちゃ
おかしいか」と聞いた。すると生徒の一人が、「然し、いまどきお腹が空いて泣いているガキなんぞ
いないぞな、もし」と言った。アンパンを無理矢理喰わせようが、俺の顔で、俺が食わせるのに文句が
あるもんかと、さっさと講義を済まして控所に帰ってきた。
十分経って次の教場にでると【一つ顔が濡れて力が出ないよ〜。但し笑う可からず】と
黒板に書いてある。さっきは別に腹も立たなかったが今度は癪に障った。冗談も度を越せばいたづらだ。
田舎者は此呼吸が分からないから、どこ迄押していっても構わないという了見だろう。
一時間も歩くと見物する町もないような狭い都に住んで、外に何も芸がないから、顔がアンパンだという
事を日露戦争のように触れちらかすんだろう。憐れな奴らだ。
子供の時から、こんな教育されるから、いやにひねっこびた、植木鉢の楓見た様な小人ができるんだ。
無邪気なら一所に笑ってもいいが、こりゃなんだ。子供の癖に乙に毒気を持ってる。
「こんないたづらが面白いか、卑怯な冗談だ。君らは卑怯という意味を知ってるか」と言ったら、
「自分がしていることを笑われて怒るのが卑怯ぢゃろうがな、もし」と答えた奴がある。
やな奴だ。
わざわざ、こんな奴を救いにきたのかと思ったら情けなくなった。


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